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観光情報

京都の伝統を淡路島へ―独歩園が語る、洗心和方の庭づくり

淡路島の新たな宿泊施設「洗心和方」。その入口を彩る本格的な和風庭園は、京都で培われた伝統技術の粋を集めた作品です。手がけたのは、大徳寺芳春院をはじめ数々の名園を生み出してきた独歩園。今回、庭づくりに込めた想いと、使用された希少な名石について、詳しくお話を伺いました。

「棟梁の門にふさわしい庭を」―プロジェクトの始まり

「鵤工舎さんが回廊をつくられると伺って、すごい建築・すごい門ができるなら、それにふさわしい庭にしなければいけないと感じました」と語る独歩園。淡路島でこれほど本格的な和風庭園を手がけるのは初めてのこと。京都で磨いた技術を存分に活かせる場として、特別な想いでこのプロジェクトに臨んだといいます。

当初は入口前の広いスペース全体を庭として計画する依頼からスタート。最終的には、建築との調和を最優先に考え、「大工さんに負けない庭」を目指して設計が進められました。

プロジェクト概要

• 施設名:洗心和方
• 場所:淡路島
• 工期:約1か月半
• 特徴:京都の名石を集めた本格和風庭園

18トン級の巨石も―京都「七石」が集結

この庭の最大の特徴は、京都の庭を見慣れた方なら一目でわかる「名石」ばかりを使用していること。奈良・吉野川の吉野石、和歌山・高野山周辺の色味のある石、京都北部・貴船の貴船石(糸掛け、紫、よもぎ)、滋賀県・永源寺の川石など、近畿一円の名石が贅沢に配されています。

貴船石「紫(むらさき)」

京都北部・貴船から産出される、その名の通り少し紫がかった美しい石。同じ貴船石でも、わずかな違いで風合いが変わり、名前も変わります。

吉野石

奈良・吉野川から採れる名石。京都の庭園で古くから愛用されてきた伝統的な石材で、独特の風合いを持ちます。

18トン級の巨石
もう今は川から採ることができない希少な大型石材。海が近く広い空間だからこそ、建物に負けない存在感のある石が必要でした。

「良い材料を持っている人自体が少なくなっていて、使いたくても材料がないというのが現実です。今回は、何年もかけて集めてきた良い石だけを選び抜いて、これでもかというくらい贅沢に使わせていただきました」

歩くたびに変わる景色―「移ろい」を楽しむ設計

個人宅ではなく宿泊施設という特性を活かし、「来てくださる方みんながどう楽しめるか」をテーマに設計されました。門の外から建物の玄関が少しだけ見え、回廊を進むと庭全体が現れる。数歩歩くごとに景色が移り変わり、振り返ればまた違う表情を見せる―そんな「歩くことで移り変わる景色」が意識されています。

門の外から
建物の玄関が少しだけ見える。期待感を高める最初の視点。

回廊を進むと
庭全体がよく見えてくる。全体像が徐々に明らかになる瞬間。

数歩歩いて
見える景色が変化する。植栽によって景色を「消す」技法も。

振り返ると
また違う表情を見せる。移ろいを楽しむ日本庭園の真髄。

石垣との調和―「借景」の技法

最も難しかったのは、既存の駐車場に沿って積まれていた石垣との調和。石垣の壁面が丸見えのままでは庭が台無しになってしまうため、「借景」の考え方で、植栽によって”ちらちら見える程度”に抑え、この一帯をひとつの空間として感じてもらえるよう工夫されました。

課題
入口から玄関まで、石垣の壁面がずっと見えてしまう状態。このままでは庭の世界観が損なわれてしまいます。

解決策
植栽によって石垣を完全に隠すのではなく、「借景」として活かしながら、ちらちら見える程度に調整。空間全体の調和を実現しました。

この庭の「顔」―中央の灯籠

「門を出てすぐ、建物を背景にして立つと、庭の中央に一本、灯籠がどんと立っている場所があります。あの灯籠があるかないかで、この庭が生きるかどうかが決まる、というくらいの気持ちで立てました」

一見何気なく見えるかもしれないこの灯籠こそが、庭全体の要。石橋のあたりにある丸くゴロンとした大きな石も、もうなかなか手に入らない希少なもの。海が近く広い空間だからこそ、ポイントとなる場所には存在感のある石を配し、庭が建物に対して「対等に立てる」よう設計されています。

日本の庭園文化を次世代へ

現状への危機感
「日本の庭園に対する日本人の関心が以前より薄くなっているのではないか」―京都の現場で感じる実感です。

石の価値を伝える
石ひとつとっても、「どこで採れた」「どんな表情を持っている」という背景があり、魚でいえば養殖と天然くらいの差がある世界です。

伝統文化の継承
造園という仕事を通じて、日本の伝統文化を、なんらかの形でこれからも守っていきたいと考えています。

独歩園が普段手がけるのは、個人宅の庭、お寺の庭、京都の老舗料理屋や旅館の庭など。その中でも、京都・大徳寺の塔頭「芳春院」での仕事が、自分にとって一番のベースになっているといいます。加賀前田藩・前田利家公の奥方のお墓がある、庭と敷地の広いお寺で、池や滝組なども手がけてきました。

世界中のお客様に、京都の伝統を

「ここは世界各国から多くのお客様が来られる場所です。淡路島でありながら、私が育ってきた京都の伝統を、石を通して見ていただきたいという想いもあり、今回こういった石を使って庭を作りました」

京都で培われた伝統技術と、何年もかけて集められた希少な名石。そのすべてが結集した洗心和方の庭園は、日本の庭園文化の素晴らしさを、国内外のお客様に伝える場となることでしょう。

取材を終えて

石ひとつひとつに込められた想い、歩くたびに変わる景色の設計、そして日本の伝統文化を守りたいという強い信念。独歩園の語る言葉からは、単なる「庭づくり」を超えた、文化の継承者としての使命感が伝わってきました。洗心和方を訪れた際は、ぜひ門から回廊へと歩を進めながら、移ろいゆく景色と、そこに配された名石の一つひとつに目を向けてみてください。

詳細を見てから予約

住所 〒656-1721 兵庫県淡路市野島蟇浦150
無料周遊シャトルバスをご利用いただけます。
駐車場 あり(無料)
受付時間 チェックイン15:00~/チェックアウト11:00
客室 全20室(標準和室8室、洋室6室、特別客室 展望風呂付3室、離れ 温泉露天風呂付3室)
電話番号 0799-64-9800
公式HP https://senshinwaho.com/
公式予約サイト https://go-senshinwaho.reservation.jp/ja/searchInput

洗心和方詳細はこちら

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