淡路島西海岸に位置する「青海波 波乗亭」は、播磨灘の絶景を望む優雅な劇場であり、客席は横広く、舞台との距離が近いため、臨場感に満ちています。
7月6日から豪華ゲストを招き、新作ミュージカル「福来たる~淡路ゑびす座狂詩曲(らぷそでぃ)~」が開催中です。本公演を120%楽しめるように「福来たる」にまつわる豆知識をご紹介します!
目次
芝居小屋の歴史
「福来たる」の舞台になる戦後淡路島の芝居小屋。
淡路島はかつて芝居が盛んだったことはあまり知られていません。芝居小屋といっても内容はまちまち。寄席に演劇に浄瑠璃に、あちこちで芝居がかかりどこも人の熱気で町は大賑わい!想像するだけで楽しい気持ちになります。
演目は朝から日没まで一日かけて演じるものも多く、昔の観劇スタイルは今のように黙って座っていたわけではなかったようで、食べたり、酒を飲んだり、昼寝したり、喋ったり…とにかく自由だったようです。
淡路島の芝居小屋
数ある劇場の中で淡路島で最も古い劇場は、洲本にあった玉尾座でした。江戸時代末期にはすでにあったとされ、規模はずば抜けて大きかったようです。明治時代になると漁師町や市街地などに劇場が次々建てられるようになり、大きい劇場はなんと1,500人を超えるキャパだったとか!波乗亭が約200席と考えるとその大きさがよく分かります。「一銭で飴玉が4、5個買えた時代に木戸銭が2銭」という安さから庶民になじみの娯楽でした。
やがて農村地帯でも田舎回りの劇団が来て数日間小屋掛けするようになり訪れた人の熱気で身動きできなくなるほどでした。芝居が行われる場所は神社の境内が多く、昔は稲刈り後の田園で行ったこともあったそうです。
400年続く芝居小屋の歴史
1603年、出雲阿国による「かぶきおどり」に始まった芝居小屋。1624年には十八代中村勘三郎の初代猿若(中村)勘三郎が江戸の芝居小屋「猿若座」を興しました。一日がかりの芝居では、幕間が長かった中で生まれた名物の「幕ノ内」弁当、そして歌舞伎十八番の演目である「助六」にちなんでつけられた「助六寿司」等があります。
また、「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉がありますが木造の芝居小屋が火災に見舞われることはよくあり、歌舞伎でも火事を題材にした演目が上演されていました。
江戸時代から遊興娯楽は好ましくないものとして、芝居を観に行くときは隣近所に「仏参」など言って気兼ねしながら出掛けていたそうです。悪事を働いたわけではないのに後ろめたさを感じますね。明治に入ると芝居は国の何の役にも立たないと、興行場や役者が課税対象となりました。地方のほうが高い税額が設定されていたのには理由があり、本業ともいえる農業に従事するよう促し、遊芸従事者を「漸次廃絶」させるためでした。
しかし、庶民の間では芸能の需要が多くなります。興行場の数は年次を経るごとに増加し、明治1874年に全国で40~50ヵ所でしたが1884年には391ヵ所にまで増えていました。
芸能の地位向上に貢献したアメリカ大統領
度重なる芝居小屋の火事や風俗壊乱の元凶として芸能に関わりをもつ者は社会から大きく疎外され低い立場に置かれていましたが、1879年の第18代合衆国大統領を勤めたグラントの来日が大きな転換期に繋がります。グラントは岩倉使節団の米欧回覧時のアメリカ大統領であり、その際岩倉から能楽について聞いたグラントは能を観たいと申し出ます。
観劇後、グラントは欧州各国において帝王貴族が「オペラ」を保護するように能楽を保護して永久に伝えるよう言いました。その結果が能楽堂建設、能楽会設立に繋がり、芸能の価値観は一変することになります。
明治時代の改良運動のひとつ演劇改良運動
1885年は日本の社会の各方面に改良の声が上がり、その一つとして演劇改良運動もありました。上流階級の人々の鑑賞に堪える高尚なものにしなくてはならないという考えから脚本の内容や演出など様々な改革が試みられ、戦前にはチャーリー・チャップリンや作家ジャン・コクトーらが歌舞伎観劇に訪れました。演劇改良運動の流れで演劇改良会発足直後に東京音楽学校が設立され、寄席演芸では渋沢栄一や三遊亭円朝らの発起で改良演芸会社が設立されました。
その頃、庶民に最も人気があったのは今勢いが高まっている講談です。当時講談の主たる客層は昼は年配の男性、夜は座席の半分近くを子どもが占めており、芝居はというと主に女性と子どもが見るものでした。
しかし、演劇改良には反発も強くありました。当時、西南戦争後の日本社会は貨幣価値が下落、物価高騰に増税と大不況に見舞われ、さらに天候不順や風水害によって農村は崩壊寸前の状況。同時にコレラの流行により興行物の禁止が起こり、不況とコレラでほとんどの俳優は借金生活を余儀なくされ、芝居小屋も大きな苦境に立たされました。
ミュージカル「福来たる~淡路ゑびす座狂詩曲(らぷそでぃ)~」詳細
チケットご予約・ご購入
一般 5,500円(税込)
学生(小中高)2,000円(税込)
会場・アクセス
淡路島 海の見える劇場「波乗亭」 (〒656-1723 兵庫県淡路市野島大川70)
住所 | 兵庫県淡路市野島大川70 無料周遊シャトルバスをご利用いただけます。 |
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駐車場 | あり(有料:500円) |
電話番号 | 0799-70-9020 |
公式HP | https://awaji-seikaiha.com/naminoritei/ |
予約ページ | https://www.tablecheck.com/shops/awaji-seikaiha/reserve |
営業時間 | 11:00~18:00(公演により異なる) |
定休日 | 木曜日 |
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