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観光情報

淡路島の伝統芸能「淡路人形浄瑠璃」を体験

皆さんは淡路島に国指定重要無形民俗文化財になっている伝統芸能があることをご存じでしょうか。「淡路人形浄瑠璃」は淡路島の中でも南あわじ市で江戸時代初期から続く伝統芸能です。伝統芸能と聞くと格式高く感じてしまうかもしれませんが、淡路島では伝統芸能である「淡路人形浄瑠璃」が気軽に楽しめます。今回は南あわじ市にある「淡路人形座」と「淡路人形浄瑠璃資料館」で、伝統芸能である「淡路人形浄瑠璃」を体験してきました。

目次

淡路島の伝統芸能 国指定重要無形民俗文化財にもなっている「淡路人形浄瑠璃」とは

三人遣いの人形、義太夫、太棹三味線で演じられる淡路島を代表する伝統芸能。室町時代末に西宮神社に仕えていた百太夫という傀儡師(人形遣い)が、三原郡三条村(南あわじ市市三條)に来て、地元の人に人形操りの技を伝えたのが始まりと言われています。最盛期の江戸時代中期には40以上の人形座があり、全国各地に人形浄瑠璃の魅力を伝えました。1976年に国指定重要無形民俗文化財に指定。現在は南あわじ市にある「淡路人形座」が淡路島唯一の人形座です。

淡路島観光で伝統芸能に触れる 「淡路人形座」で淡路人形浄瑠璃を体験

「淡路人形座」は日本に2つしかないプロの人形浄瑠璃一座の一つです。2012年に大鳴門橋記念館から道の駅 福良に移転。新しい和モダンな建物で淡路人形浄瑠璃を気軽に楽しむことができます。演目は1~2ヶ月に一度の間隔で変わっていき、14~15演目を公演しています。公演1日に4回行っています。

迫力満点「壺坂霊験記 山の段」を鑑賞

今回は「壺坂霊験記 山の段」を鑑賞しました。「壺坂霊験記 山の段」は盲人とその妻の夫婦愛を描いた世話物。盲目の沢市は妻のお里が毎晩家を空けることに、不義を働いているのではないかと不信感を抱きますが、実は夫の目が治るように、願掛けに行っていたのだと知ります。女房を疑ったことを詫び、壺坂寺へ参詣しましたが、自分と暮らしていても幸せにはなれないと絶望し、傍らの谷に身を投げます。お里も後追いで投身しますが、観音様のご利益で夫婦の命は救われ、沢市の目も見えるようになるのでした。明治時代に作られた、人形浄瑠璃の演目の中では比較的新しい作品です。

本編の前に座員の方が淡路人形浄瑠璃についてや、人形の動かし方などの説明してくださいます。人形の表情の意味なども教えてくれるので、初めて人形浄瑠璃を観る方も分かりやすくより人形浄瑠璃を楽しむことが出来ます。前座の時間は約10分です。

「淡路人形浄瑠璃」は1体の人形を3人が操る3人遣い。人形遣いは人形のかしらと右手を遣う「主遣い(おもづかい)」、左手を遣う「左遣い(ひだりづかい)」、足を遣う「足遣い(あしづかい)」に分かれ、それぞれを習得するのに約7年かかるそう。息の合った動きで、まるで本当に人形が生きているかの表現はこの修行のたまもの。特に女型の人形のしなやかな動きには目を奪われます。緊迫感ある三味線の音色、男役や女役、効果音まで一人でこなす丈夫の声と相まって、とても迫力がり見ごたえのある公演でした。本編は約40分です。

本編が最後にあるのがおひねりにタイム。和紙にお金を包み、舞台に向かっておひねりを投げます。おひねりという言葉は和紙をひねってお金を包むことが由来だそうです。このおひねりというのも伝統芸能の楽しみの一つ。おひねり用の和紙はホールの入り口で無料で配布しているのでぜひ体験してみてください。

公演の最後は戎様との写真撮影。なんとこの戎様、一緒に写真を撮ると幸運が訪れるそうです。お客様の中には志望校合格や宝くじに当たったと、友人を連れて再びご報告に来てくれる方もいるのだとか。写真撮影は無料なので、ぜひ戎様と写真を撮って福を持ち帰ってくださいね。

海外の方も安心のインバウンド対応

「淡路人形座」では海外からのお客様にも対応するため英語、中国語、韓国語の音声ガイドの貸し出しがあります。話のあらすじを説明してくれるため日本語がわからいインバウンドのお客様も安心して公演を楽しめます。コロナ後から海外からのお客様も増えているそう。淡路人形浄瑠璃は海外の方にも人気の日本の観光スポットです。

公演以外にも見どころがいっぱいの「淡路人形座」

国の重要文化財に指定されれいる貴重な展示品の数々

「淡路人形座」では館内の待合室やホールの後ろに人形浄瑠璃で使われる人形や資料の展示がおこなわれています。注目したいのが浄瑠璃で使われる人形たち。「淡路人形座」では現在、約230点の人形を所有しており、そのうち約150点が県指定有形民俗文化財に指定されているのだとか。「淡路人形座」の人形たちは100年以上前に作られたものが多いらしいのですが、文化財に指定されているので修復も禁止されているそうです。けれど、どの人形も100年以上前のものとは思えないほどの美しさ。座員の皆さんが人形を丁寧に手入れをしながら大切に使っているのがわかります。

フォトスポットとして人気のユーモアあふれる看板

「淡路人形座」の見どころは他にもあります。皆さん、こちらのポスターで何か気づくことはないでしょうか?実はこちら、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐を人形浄瑠璃でオマージュしたもの。ユーモアあふれるこちらの看板はフォトスポットとしてお客様にも好評です。

人形浄瑠璃だけではなく淡路の伝統工芸が揃うシアターショップ

「淡路人形座」の館内にはシアターショップもあります。こちらのシアターショップではTシャツやうちわ、クリアファイルなど淡路人形浄瑠璃のオリジナルグッズの他、淡路島の伝統工芸であるお線香や淡路瓦の箸置きなども販売。淡路島観光の土産に、淡路島らしいものを買いたい方はぜひチェックしてくださいね。

この道35年 人形遣い「吉田 廣の助」さんインタビュー

今回は「淡路人形座」に入座し35年、人形遣いとして活躍し続ける吉田 廣の助さんにお話を伺いました。南あわじ市出身の廣の助さん。入団のきっかけは南あわじ市のお祭りで歌われる淡路だんじり唄。淡路だんじり唄は人形浄瑠璃を起源にしており、幼いころにお祭りで聞き、興味を持ったのが始まり。南あわじ市では伝統芸能を繋いでいく活動が盛んにおこなわれているのがわかります。

淡路人形浄瑠璃の未来を創る「淡路人形座」の若手育成

「淡路人形座」の座員の方々を見てみると若い方が沢山いらっしゃいます。これは「淡路人形座」の座員が学校のクラブ活動の先生として子供たちに指導を行い、人材育成に力を入れているから。「淡路人形座」にいる座員の方は全て地元、南あわじ市出身。皆さんクラブ活動を通じで淡路人形浄瑠璃に興味を持ち、プロの道に進んだそうです。伝統を繋げるということは人を育てることが大切と廣の助さんはおっしゃいます。

伝統を守りながら挑戦し続ける淡路人形座のシン・淡路人形浄瑠璃「ももたろう」

家族連れの若い方を掘り起こすというコンセプトのもと、夏休み親子劇場として期間限定公演された、昔話の桃太郎をモチーフにした「ももたろう」。脚本、振付、音楽の全てを「淡路人形座」の座員が考えた「淡路人形座」のオリジナル演目です。お客様もお芝居に参加する新しい試みを取り入れ、昨対比200%を超える大成功を収めました。脚本や、振付には人形浄瑠璃の伝統的な決まりが踏襲されているのですかと尋ねると、今回は型にとらわれず、小さなお子様でも楽しめるような内容にしたとのこと。伝統を守るということは変化をしていくことも大切と語る廣の助さん。大好評の「ももたろう」、今年の公演は終わってしまいましたが、来年の夏、さらにバージョンアップをして再公演を予定しているとのことです。

「吉田 廣の助」さんが語る「淡路人形浄瑠璃」の未来

「淡路人形座」ではまだまだ座員が少なく、出張公演も多いため、人数の関係上、どうしても公演できる演目が限られてしまうそうです。今後は、たくさんのお客様にご来館いただくことで、座員の人数も増やし、公演できる演目を増やしていきたいとのことです。ご年配の方がメインというイメージが多い伝統芸能ですが、「ももたろう」のようにお子様も楽しめ、3世代にわたってご来館していただけるような一座にしたいと語っていただきました。

「淡路人形座」概要

  • 住所:〒656-0501 兵庫県南あわじ市福良甲1528-1地先
  • 営業時間:9:00 – 17:00 
  • 公演時間:約1時間
  • 料金:大人 1,800円/中高生 1,300円/小学生 1,000円/幼児(3歳以上) 300円
    ※団体割引(15名~)・障碍者割引あり
  • 定休日:毎週水曜日
  • 電話番号: 0799-52-0260
  • 駐車場:有り(無料)

アクセス

関西方面からのアクセス

関西方面からのアクセスは、自動車または直通の高速バスがおすすめ。高速バスは三宮から一本で行けるので、車を持っていなくとも楽にアクセスできます。
自動車:神戸三宮より車で約1時間10分(淡路島南ICから車で約10分)
高速バス:神戸から約1時間30分 料金2,440円
     高速舞子から約1時間 料金2,130円

東京からは徳島阿波おどり空港とオニオンバス利用が便利

東京からは羽田発、徳島阿波おどり空港着の飛行機で。徳島阿波おどり空港からは南あわじ市間を繋ぐ直行バス「オニオンバス」を利用しましょう。オニオンバスは2023年7月1日(土)~2024年3月31日(日)の期間限定で運航されています。発着駅は徳島阿波おどり空港と南あわじ市の淡路島南IC・福良・陸の港西淡・イングランドの丘をです。飛行機とバスを使えば東京ー南あわじ市まで約2時間でアクセスが可能。東京からの淡路島観光にもとても便利になりました。
オニオンバス(徳島阿波おどり空港ー福良間)料金:片道 980円/ 往復1,760円

「人形浄瑠璃」以外に淡路島ならではの観光が楽しめる「道の駅 福良」

迫力満点 淡路島で人気の大自然アクティビティ「うずしおクルーズ」

せっかく淡路島観光にきたからには淡路島を最大限満喫したくありませんか?そんな方は、淡路島の伝統芸能「淡路人形浄瑠璃」と共に、淡路島で大自然アクティビティ「うずしおクルーズ」を体験するのがおすすめ。「うずしおクルーズ」は世界最大の鳴門の渦潮を間近で観ることが出来るクルージング。今回ご紹介した「淡路人形座」と同じ道の駅 福良にある、うずしおドームなないろ館から出航しています。「うずしおクルーズ」の詳細は下記をご覧ください。

まるで鳴門の渦潮 淡路島観光の疲れを癒やす足湯「うずのゆ」

「うずのゆ」は道の駅 福良にある足湯。場所はうずしおドームなないろ館の横に隣接しています。「うずのゆ」という名前の通りまるで水流で鳴門の渦潮のように渦が巻いている足湯です。目の前には「うずしおクルーズ」のクルーズ船が停泊しますのでロケーションも抜群です。

「淡路人形座」と合わせて訪れたい「淡路人形浄瑠璃資料館」

「淡路人形座」と合わせて訪れたいのが「淡路人形座」のある道の駅 福良から車で15分ほどにある「淡路人形浄瑠璃資料館」です。こちらには淡路人形浄瑠璃の名門“市村六之丞座”から譲り受けた人形・道具等一式が展示されています。今回は館長の福原 敬二さんに説明をしていただきました。

これを知ればもっと楽しい「淡路人形浄瑠璃」の魅力

「淡路人形浄瑠璃」の魅力は人形浄瑠璃文楽より大きなサイズの人形とダイナミックな動きにあります。劇場を構える人形浄瑠璃文楽とは違い、旅芸人として全国に赴いていた淡路人形浄瑠璃。野掛け小屋という仮設の芝居小屋を設置した野外公演を行っていました。そのため、野外でも見やすく、その土地土地の人々に合わせた公演を行うために、大きな人形を使い迫力のあるダイナミックな動きのある芝居になっていったそうです。

「淡路人形浄瑠璃資料館」に展示されている美しいる衣裳の数々も見逃せないポイントです。これらは徳島藩の豪商やお殿様が淡路人形浄瑠璃の一座を招いた際に褒美として授けたもの。正絹で作られ現在の価値で数百万するそうです。庶民では手が出ない絢爛豪華な衣裳を人形たちが着ているということが、淡路人形浄瑠璃の威厳を表していたとのこと。この豪華な衣裳は、竹竿に通し、「衣裳山」として幾段にも並べて舞台の前に飾られれていました。

常に新しいことに挑戦し続けていた「淡路人形浄瑠璃」

「淡路人形浄瑠璃」は日本の伝統芸能としては珍しく、女性の座員が多くいらっしゃいます。明治頃から女性の座員を登用し、日本の義太夫節三味線演奏者で初の女性の人間国宝となる方を輩出したそうです。このように「淡路人形浄瑠璃」は昔から新しいことに挑戦し続けていることがわかりました。
「淡路人形浄瑠璃資料館」は無料で開放されていますが、団体でご利用の場合は事前に連絡いただければ資料の説明もしてくださるそうです。展示を観るだけでなくお話を伺うことでより一層、淡路人形浄瑠璃の魅力を知ることができます。

「淡路人形浄瑠璃資料館」概要

  • 住所:〒656-0475 南あわじ市三條880(中央公民館図書室2階)
  • 営業時間:10:00-17:00
  • 所要時間:約30分
  • 料金:無料
  • 定休日:毎週月曜日(祝日は開館)祝日の翌日 年末年始
  • 電話番号: 0799-42-5115
  • 駐車場:有り(無料)

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