淡路島西海岸に位置する「青海波 波乗亭」は、播磨灘の絶景を望む優雅な劇場であり、客席は横広く、舞台との距離が近いため、臨場感に満ちています。
7月6日から豪華ゲストを招き、新作ミュージカル「福来たる~淡路ゑびす座狂詩曲(らぷそでぃ)~」が開催中です。本公演を120%楽しめるように「福来たる」にまつわる豆知識をご紹介します!
目次
明石海峡で起きた戦後間もない悲劇の事故
今の季節は穏やかな表情を見せる夕焼けの美しい淡路島の西海岸ですが、冬は強い風が吹き付け厳しい寒さがやってきます。現在、本州と淡路島を結ぶ3,911mの世界最大級の吊り橋「明石海峡大橋」が架かり、夜のライトアップされた幻想的な景観は誰をも魅了してやみません。その明石海峡は大阪湾と瀬戸内海を繋ぐ古くから好漁場であるとともに国際航路として海上交通の要衝でもあります。
「せきれい丸沈没事故」
戦後間もない1945年(昭和20年)12月9日。北西の強い季節風で冬の明石海峡は台風並みの突風が吹き海は大荒れでした。この日、定員の3倍以上の349名を乗せた播淡連絡汽船会社の木造船「せきれい丸」(34t/定員100名)は明石海峡の松帆の沖合1500mで転覆沈没。救助されたのは45名、死者17名、行方不明287名という痛ましい惨事が起きました。
背景には終戦後の混乱期があります。焼け野原の明石には日用品を売る闇市が並び、爆撃を逃れた淡路島には魚や農産物が残っていたので住民は互いに生活必需品を求めて人々の唯一の交通手段である「せきれい丸」に乗り込み明石海峡を往復していました。『淡路町風土記』によると明石海峡の潮流を知り尽くしていた当時のせきれい丸の船長は明石からの1便は無事に着いたものの2便は強風のため欠航する予定でいました。
しかし、桟橋には日曜日とあって一刻も早く明石へ行こうと長蛇の列…。船客たちは船員の制止を振り切って船内へなだれ込む事態になり、せきれい丸は定員を大幅に超過したまま出港するしかありませんでした。
出港から10分後。沖合に出ると強い西風の影響に煽られて、揺れがひどくなっていきます。左から船よりも高い大波が襲い、それを避けようと船客は右舷に殺到。人と水の重みで右に傾いたかと思うと第二の大波が押し寄せさらに大きく右にふれ船は転覆、乗客は一瞬にして荒海に投げ出されてしまいます。人々は板切れやトランクにすがりつき、声を掛け合いますが大波が襲いかかり、悲しいことに304名が犠牲となりました。
「せきれい丸」遭難者慰霊碑・鳥の山展望台
当時、戦後の混乱期で十分に供養されないままでしたが、昭和62年に明石海峡架橋工事が始まることを契機に鳥の山展望台(兵庫県淡路市岩屋)に犠牲者を悼み、平和と海上安全を願って「せきれい丸遭難者合掌之塔」が建てられました。
波が高いので欠航するという冷静な判断ができなかったのは戦後の深刻な物不足、食糧不足の影響でもあり誰もが疲弊しきりその日一日を生き抜くために精一杯だった戦争の傷あとの一つともいえます。
絵本「せきれい丸」
「事故を風化させたくない」という生存者の思いに応えて2020年に淡路島在住の絵本作家・田島征彦さんが手掛けた絵本「せきれい丸」(くもん出版)が出版されました。絵本のあとがきに寄せられた生存者の方のコメントは胸に迫るものがあります。
戦争の悲惨さ、事故の痛ましさ、生きることや命の大切さが絵筆の力強さとともに丁寧に描かれていますのでぜひ手にとって読んでみてください。
鳥の山展望台へのアクセス
〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋3132
車:「淡路IC」より車で3分
バス:「淡路IC」より徒歩25分
ミュージカル「福来たる~淡路ゑびす座狂詩曲(らぷそでぃ)~」詳細
チケットご予約・ご購入
一般 5,500円(税込)
学生(小中高)2,000円(税込)
会場・アクセス
淡路島 海の見える劇場「波乗亭」 (〒656-1723 兵庫県淡路市野島大川70)
住所 | 兵庫県淡路市野島大川70 無料周遊シャトルバスをご利用いただけます。 |
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駐車場 | あり(有料:500円) |
電話番号 | 0799-70-9020 |
公式HP | https://awaji-seikaiha.com/naminoritei/ |
予約ページ | https://www.tablecheck.com/shops/awaji-seikaiha/reserve |
営業時間 | 11:00~18:00(公演により異なる) |
定休日 | 木曜日 |
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